よいまさか

クリスマスなんて。べっつにー。。


でも、
ママも久しぶりにオウチに居るから、みんなでチキンを食べよう。
一口くらいなら、ワインだって、飲ませちゃおう。
家族揃ってのクリスマスは、もうたぶん、レア。だろうし。


なんて思ってたけど、ママは帰ってこれなかった。
ザワザワと纏わりつくイヤな予感。を振り切るように、ユミコとディナーに出かけた。



イヴの夜は、どこも楽しそうなカップルでいっぱいで
イルミネーションと笑顔が、眩しすぎる。
世の中が、眩しすぎて、目を逸らしたくなった。

辿り着いた店も言わずもがな、なアベックずくめで、
肩身の狭い私たちは、バカみたいにワインを2本あけた。
けれど全然酔わなくて。余計、なんだか寂しかった。
そんなことない!
CHANELで買ったささやかなプレゼントを渡すと、
キラキラした瞳でありがとうと微笑む。ユミコかわいい。ってこれ、なんだよ。。


言わせてもらおう。
もしも私がオトコだったら。モテない気がしない。(※チビじゃなかったら、も、つけたし。)
だからなんなんだ。私はオンナノコです。
本当は、本当は、ウキウキしたい。ドキドキしたい。
白いニットとか着て、フワフワな感じで、ツリーの前で待ち合わせとか、したい。
いいや、この際なんでもいい。好きな人に、会いたい。会いたい。会いたい!メリークリスマス!







店から自宅まで。片手にケータイ握り締め、歩いて帰る。
恋人と、メール。のち、電話。
会えない寂しさが、募る。些細なことで、拗ねる。
会いたかった、って言えばいいのに。
寂しいよ、って言えればかわいいのに。
ぜんぜん、かわいくねーな。わたし。。


ザンネンな気持ちで、俯いて歩く。自宅まであと100m。
顔をあげると、家の前に、マスクのオトコが立っている。
新宿から130キロ、遠く離れたこの田舎に、居るはずのない人が、立っている!
まさに会いたいその人が、目の前に!!!



超びびった。涙が出て、走って逃げた。猛ダッシュ


逃げた理由は、謎。
(すぐに引き返しました。)